出版社が本を書店に運んでもらう「配本制度」について

旅人にとっての宿（逆旅げきりょ）のような人生の休憩場所や分岐点をつくる、逆旅出版です。

今回は「配本」という出版業界の仕組みについてお話します。

「配本」とは？ 出版社が本屋に本を並べてもらう仕組み

配本という言葉を調べると、「書物を小売書店、または購入予約者に配布すること」という説明が出てくるかと思います。

まさにその通りなのですが、もっと砕いた表現をするとしたら、配本とは出版社が作った本を取次が書店まで運んでくれることです。

世の中にはたくさんの書店があり（全国で6000店くらいあるらしい）、そしてたくさんの出版社が継続して新刊（新しく発行された本）を作っています。

こういうたくさんの人とモノが存在する業界で、それぞれ個別で契約し、配送し、在庫の偏りを調整するのは……現実的ではありませんよね。出版社は本作りに没頭したいし、書店は本を売ることに注力したい。

そこで、書店と出版社の間を取り持ってくれる「取次会社」が存在します。
取次会社が行う仲介作業は、他の業界でいうところの「委託制度」。細かい条件（契約内容）による違いはいくつかありますが、出版社と書店がお互いの業務に集中するために必要な存在だと思います。

この取次が、相性の良さそうな書店に見繕い、届けてくれるサービスが「配本」です。
世の中には新しい本や書店が日々生まれていますから、取次の采配でひとまず送ってもらうというイメージです。
これにより、出版社は思わぬ書店で売上を獲得することができ、書店は客観視点で売れそうな本を入荷してもらえる率があがります。
とはいえ、売れなければ返品コストなどがかかりますから、この配本制度を利用するかは運営の方針によります。

委託制度の種類

配本についてご説明しましたが、一緒に委託制度についてもはっきりお話しておきましょう！
そもそも委託制度とは「返品条件付きで、一定の期間内、販売を委託する制度」と言えます。
この返品条件によって、いわゆる種類があるので、細かく見ていきましょう！

①新刊委託（普通委託・重版委託）

まずは最もオーソドックスな新刊委託（普通委託・重版委託）です。
新しく発行された本や、重版された本に使われる条件。
取次から小売間は105日（3ヵ月半）、取次から出版社間は6ヵ月です。

②雑誌委託

①新刊委託（普通委託・重版委託）よりちょっとサイクルが短めの、雑誌などを対象にした委託形式です。
取次から小売間は60日、取次から出版社間は90日。
週刊誌の場合は取次から小売間は45日、取次から出版社間は60日です。

③長期委託

既に刊行された本を、商品をテーマや季節などでセットにして、長く書店で店頭陳列販売するために委託する形式です。
委託期間が長く、補充義務はありません。

④常備寄託

年間を通した書店の店頭陳列販売を目的とする形式です。
税務上、出版社の社外在庫として扱われ、補充義務も発生します。

⑤買切制

いわゆる買取りで、返品は発生しません。
出版社からすると、シンプルに本を販売した感じです。

⑥予約制

長期にわたる高額商品の予約販売です。
全集や百科事典などに使われます。こちらも買切なので、返品は発生しません。

委託制度を利用した売上は業界の70％前後を占める

上記のような契約で、出版社は取次や書店の力を借り、本を読者の方々に届けています。
この委託制度を利用した売上は「業界の70％前後を占める」と言われており、出版社としては効率よく書店に自分たちの本をしってもらうためにも、取次との契約が初めの一歩という部分があるそう。

逆旅出版も直販を承っております

余談ですが「直販」という選択肢を用意する出版社もあります。

ここまでお話していた、取次や書店に力を貸してもらう方法が委託。
対して、出版社が直接売買する方法が直販です。

直販だと出版社に配送やお客様とのやりとりといった業務が発生しますが、販売手数料などを差し引いても利益がでる場合が多いのが特徴。
出版社が運営する公式通販サイトや、本を置いてくれる書店やカフェ、美容室、図書館、コワーキングスペースなど、また時折行われている書籍販売イベントでの取引がこれにあたります。

かくいう逆旅出版も新刊販売時には書籍販売イベントを行っています！
気になる書籍が刊行された際は、ぜひ遊びに来てくださいね。

逆旅出版

Gekiryo publishing

TwitterFacebookInstagramYouTube

人生を旅する皆様の休憩場所や分岐点になれる本を目指して。唯一無二の出会いをお届けできる書籍を制作・刊行しています。